2017年03月12日

薬を通して患者さんに寄り添ったケアができる仕事

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緩和薬物療法認定薬剤師は主にがん治療における緩和ケアに貢献ができる薬剤師です。がん治療において緩和医療チームに加わり、医師と連携して効果を見ながら薬物管理を行うなど、専門的な役割を果たしています。ここでは、その役割や取得方法を詳しくご案内いたします。

■がんに伴う体と心の痛みを和らげる役割を担う

がん治療において痛みをコントロールができるかどうかは、患者さんのQOLに大きく関わります。そこで、薬剤師ががんの痛みや症状管理に貢献して、痛みの緩和ケアに積極的にかかわる目的で、2009年度に日本緩和医療薬学会により緩和薬物療法認定薬剤師の認定制度が始まりました。

痛みを緩和するための薬物は高度な専門性が必要で、薬の専門的な知識が必要になります。また、がん治療は医師や看護師などと緩和医療チームを組んで治療を進めるので、病気に対する知識や経験、コミュニケーションスキルも求められます。

がん医療における緩和ケアでは、がんに伴う体と心の痛みを和らげて、その人らしさを大切にしていきます。患者さんや家族が自分らしく過ごせるように大きな役割を担っており、今後もより一層需要は増えていくことでしょう。

■取得するには様々な条件をクリアしなければならない

緩和薬物療法認定薬剤師認定試験を受験するためには、様々な条件をクリアしなければなりません。まずは、実務歴が5年以上あり、日本緩和医療薬学会の会員であることが挙げられます。

また、規定された認定薬剤師であると共に、3年以上緩和ケアに従事していることも条件となります。さらに、5年以内に所定の単位の研修を履修して、規定の講習会に参加していることも必須です。また、学術集会において緩和ケア領域に関する学会発表を2回以上行っていることや、緩和ケアに関わる30症例以上の提示、保険薬局に勤務する場合は15症例以上の提示が求められます。

そして所属長の推薦があって試験を受けることができます。この様に、必要な条件が多いことが特徴となっています。

■取得後は様々な現場で活躍することができる

取得後は、様々な医療の現場で活躍することができます。緩和ケアが行われている病院、ホスピスや病棟、在宅などで必要性が高まっています。中でも在宅医療は高齢化が進む中で、今後需要が増えていく現場の一つです。また、薬物療法だけではなく、化学療法や放射線治療など、がん治療全般についての知識も必要です。

研修の履修や症例の提示などの受験資格を得るまでも大変ですが、確実スキルアップに繋がります。職場によっては働きながら資格を取得できる職場もあります。また、専門の転職や支援サイトではその様な条件の職場も探すことができるので、転職の際には是非一度利用してみると良いでしょう。