感染制御に特化した専門性が高い認定資格
現代社会には、さまざまな感染症が存在しています。もし、初期対応に遅れがあれば、感染が拡大して広範囲の人々に甚大な被害を与えかねません。なかでも、病院等の医療機関では院内感染が広がりやすいため、あらゆるスタッフが連携して発症の予防に取り組んでいます。
感染症の治療・予防に適切な薬物療法を行う医療施設内で感染症の発症を予防することを感染制御といいます。近年、院内感染を予防するための対策は、大病院ばかりではなく、中小規模の病院でも重視されています。医師や看護師・薬剤師らを中心として、スタッフ全体が協力して健康管理への取り組みが進められています。
感染症の治療には、安全で適切な薬物療法が不可欠です。そこで、一般社団法人 日本病院薬剤師会(JSHP)は、院内感染の予防や治療に貢献することのできる、感染制御に特化した専門家を養成するための認定制度をスタートしました。
さまざまな感染症の病態や特性を理解し、「感染制御に対する高度な知識・技術・実践能力を有する」と、JSHPが認定するのが感染制御認定薬剤師です。
おもな勤務先となるのは、病院や医療センターなどの医療機関です。たとえば、総合病院内の感染症関連の診療科がその一例ですが、高齢者や小児への感染防止を目的とする諸施設においても、大変重要な役目を果たしています。
資格取得のためには、JSHPへの申請条件を満たしたうえで、認定試験に合格しなくてはなりません。おもな申請条件としては、「日本の薬剤師免許を有し、実務経験が5年以上」、 JSHPなどの会員であること、 「病院内等の施設で感染対策か感染制御の経験が3年以上」かつ「感染制御関連の実績が20例以上」、JSHPの関連講習会の履修などが挙げられます。
感染制御認定薬剤師は膨大な情報を把握し、非常に専門性が高い医療行為に従事するため、厳しい認定基準が設けられています。
感染制御認定薬剤師は、専門的な知識や経験を持つスタッフとして、感染症の医療現場や院内の感染対策チームにおいて、重要な役割を担う存在です。特に、個々の患者の症状や状況に応じて、適切な薬物療法の提案や情報提供を行えるため、患者の不安や疑問に応えることが可能となります。
ですから、この資格を取得することにより、業務に対する”大きなやりがい”を実感される方も多いでしょう。また、高度な専門性が医療機関や企業内で高く評価されるため、転職活動においても有力なセールスポイントとしてアピールできます。
今後も、多様な感染症の予防や治療で活躍の場が広がり、同時に自身のスキルアップにもつながる認定資格のひとつといえます。