2017年06月12日

少子化の中期待値の高い専門資格

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薬剤師の働く場所も多様化しており、医療チームの一員となっている現代では、さまざまな方向性でスキルアップをしていかなくては生き残っていけません。ここでは専門資格である妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師について紹介しています。

慎重にならざるを得ない妊娠・授乳期の服用

妊婦さんや授乳中のママに対する薬物療法に関しては、薬の有効性と同時に安全性が何よりも重視されます。なぜなら、一般の薬物治療と違って、妊娠中や授乳中に投与した薬物は母体だけでなく胎児や哺乳児へ移行するからです。

つまり間接的に発育や機能を悪くしてしまう胎児毒性や奇形を生じる可能性のある催奇形性といったリスクを考慮する必要があります。ところが、医薬品の開発段階では、妊婦や授乳中のママに対して臨床試験を行うわけにはいかないのが実情です。

つまり、その医薬品の有効性や安全性に関する情報というのは限られていることになります。しかし、歴史を振り返ればサリドマイドによる奇形児の誕生などもあり、親としては医薬品の服用は大変慎重になっています。

安心して服用してもらうために必要な知識を

妊娠や授乳期のママに対して薬物治療を行う専門家に求められているのは、妊娠中や授乳中などの特別な時期にその医薬品の使用が医学的、薬学的にみても妥当かという点です。具体的には、当該医薬品の使用に対するリスクとベネフィットを明らかにして冷静に判断する必要があります。

つまり、赤ちゃんを産み育てるという大事な時期の薬物療法を適切に実施するためには、高い専門性と豊富な経験が必要であり、それを担保するのが妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師制度です。

また、妊婦等が服用薬についての不安や考えていることを薬剤師に相談したいという声は非常に多いため、これらの疑問に答えることはコンプライアンスの向上にも役立ちます。

産みやすい環境を提供するために

少子化といわれ、出生率は低下する一方ですが、現在も毎年100万人近い乳児が誕生しています。妊婦や授乳婦が安全で適切な形で薬物療法を受けることができるように妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師は必要とされています。

認定には実際に妊婦や授乳婦に対して薬剤指導を行った実績が30症例以上あることが要件です。今後の出生率増加に関して、安心して産める環境づくりは不可欠です。

その点でも活躍が期待される専門家とされています。しかし、その数はまだ少なく100人程度です。地域での子育て相談窓口も増える中、薬剤師がこうした資格を持ちスキルを磨くことで、新たな役割、新たな職場が生まれる可能性も秘めています。