より身近になった漢方を正しく処方するために
近年、雑誌などでも目にする機会が多い漢方は医師の8割以上が処方したことがあるほどですが、薬学部でそれについて学ぶ機会はそう多くはありません。ここでは、漢方についてのスキルを身につけられる漢方・生薬認定薬剤師について紹介しています。
漢方薬の取り扱いに精通した専門資格通常の薬学部では漢方薬について学ぶ機会はそうありません。多くの人は卒業後に漢方薬局か漢方研究所など、漢方を主に取り扱う職場に勤務して、臨床での実践を通して専門性を高めているというのが現状です。ほかにも、独学で漢方を学ぶものも多く、体系立って漢方を学習する機会が得られないこともあり、それぞれの知識を図る評価が存在しませんでした。
そこに漢方・生薬認定薬剤師制度が登場したことで、多くの受験者を集め、今では仕事で直接漢方に携わらないものにも取得者は広がっています。漢方の知見により、患者の状態を判断し、数種類の生薬を組み合わせて処方する漢方薬を扱うことができるという専門的なスキルをもっている場合に認定される資格です。
生薬とは、自然界に存在する植物や動物、鉱物などの天然物のうち薬物として用いられるもののことです。これらを調剤する昔ながらの煎じ薬の場合、原料となる生薬の品質についても目利きする力が必要です。資格取得にあたっては漢方薬の処方を学び、各人の体質や状態にあった適切な漢方薬を選択できることを目標としています。
また、西洋薬との使い分けについての知識も必要ですし、西洋薬ほどの重篤な副作用はないものの、漢方薬の副作用についての知識も必要となります。およそ3000人ほどの薬剤師が資格を取得しており、他の認定資格よりも取得者が多いです。
これは、漢方への認知度が高まるにつれて、患者からの問い合わせが増えていることが背景にあります。
患者からの問い合わせが多いことに加えて、西洋医学に限界を感じ、漢方に興味を持った薬剤師というのも多く存在します。また認定要件として実務経験は問わないことも受験者が多い理由です。通常では薬学部で学ぶことのない漢方ですが、ニーズの高まりとともに薬系大学の中でも数は少ないですが、独自のカリキュラムとして漢方薬学科を設ける大学も出てきています。
大学時代から詳細に学ぶのもいいですし、卒業後に関心が高まり漢方についての知識を増やしておきたいと考えるなら資格を取得するのも一つの方法です。通常の調剤薬局ではなく、漢方薬局でならではの仕事をしたいのであれば取得するべき資格です。