今後求められるプロとしての役割は何か
高齢化が進み、在宅医療が増えていくと予測されるなか、薬剤師の役割や求められるものも変化しつつあります。ここでは将来的に長く働くためには、その変化にどう対応してスキルを磨いていけばいいのかを見ていきましょう。
患者の生活の質を高めるためのサポート
薬剤師は、ただ薬を処方するだけの仕事ではありません。病気にかかったり体調不良を起こしている人が、自分自身の生活の質(QOL)を高めていけるよう、そのサポートをすることも求められます。
患者さんの症状や状態はさまざまですので、一人ひとりに対して何が求められているのか、医療にどうかかわっていくかが大切になってきているのです。なかでも、高齢者の在宅医療においては、緩和ケアやターミナルケアが必要となり、薬物治療は不可欠なことが多いです。
そのなかで、医師や看護師とコミュニケーションしながら、薬のプロとしての役割を担っていくことになります。そうなると、患者の家族や、医師・看護師などさまざまな立場の人とうまくコミュニケーションできるかも大切な能力であり、知識と合わせて磨いていく必要があるでしょう。
セルフメディケーションの手助けとなること
2017年1月から「特定の医薬品購入額の所得控除制度」(セルフメディケーション税制)という制度がスタートしたのは知っている人も多いことでしょう。この制度は、当初は5年間の特例制度としてスタートし、さらに2022年1月より5年間の延長が決まっています。
スイッチOTC医薬品を購入し、その他の要件を満たせばその医薬品購入費用が所得控除を受けることができるものですが、セルフメディケーションという意味ではそれだけでは十分でありません。ここで、専門家からの指導やアドバイスが必要であり、そのサポートを受けながら患者自身が自身の健康管理に積極的に取り組むことが必要になってきます。
薬剤師は医薬品の情報だけではなく、患者それぞれの状態や現在使用している治療薬などを聞いてリスクを検討し、病気や体調不良を改善させるための助言を積極的におこなう必要があるでしょう。
病気になってからではなく予防から
一般に、医薬品に頼るのは体調不良になってから、あるいは病気に罹患してからということがほとんどかもしれません。しかしながら、そうなってからではなくそれ以前の段階で、不調や病気を「予防する」ということも、プロがサポートしながらおこなうセルフメディケーションであることは忘れてはならない点でしょう。
そのためには、医薬品だけにとどまらない幅広い知識と情報を培い、ふだんから患者に信頼してもらえるような良い関係を構築しておく必要があります。