薬局経営に危惧を抱いて副業に手を出し始めた薬剤師
医薬分業が進んで街中の大学病院や地域の中核病院などの周りには急速に薬局やドラグストアが増えました。おかげで患者などは処方箋を持参して薬を受け取りやすくなりました。一方で、薬局やドラグストアが全国に過剰気味になっているため近い将来、雇用の機会が失われる心配をして調剤業務をしながら副業に手を出す人が増えているようです。
薬局の大幅増で処方薬受け取りが楽になった患者
近年、医薬分業が進むにつれて大都市の市街地を中心として地域の中核病院周辺に薬局やドラグストアが大幅に増えました。おかげで、患者などが医師の処方した薬を買い物など、外出ついでに受け取れるので便利になったと話題になっています。
人気のある店舗では処方箋を持参しても待ち時間が屡々1時間程度あるので、薬の調剤業務に携わっている人は大忙しで働いているのだろうと思われます。ところが、数年前に薬局やドラグストアの店舗数がコンビニ以上となり、これ以上の店舗増はもう限界だろうとの話が業界の話題になっていました。
医薬品の売り上げ増期待で将来見通しの明るい薬局
そこで、今後も引き続き毎年1万人前後も輩出される見込みの薬剤師の国家試験合格者はすんなりと就職できた近年の好調な求人状況が一変するのではないかと心配しています。実際に、店舗がこれだけ増えてしまうとたとえ街中に開業していても立地条件の良くない店舗では売り上げの減少してしまう恐れが出ているようです。
最近、民間調査機関の行ったアンケート調査によると薬局などに勤務する人の15%程度が既に専門性を生かした副業に手を出しているとのデータが分かっています。高齢化が進んでいくと生活習慣病などで薬局やドラッグストアのお世話になる人が増えざるを得ないでしょう。
このため、消費者の間では医薬品の売り上げ増が期待される薬局などの将来見通しは当分明るいはずだとみているようです。
近い将来の経営に危惧を抱く人が増えている薬局
ところが、経営状態の芳しくない店舗の経営者は逆に、今後、倒産やM&Aなどに見舞われるのではないかと心配して副業に手を出し始めているということです。最近、働き方改革が広まるにつれて就業規則を改訂して副業を条件付きで認める企業が増えてきましたが、まだ禁止しているところの多いのが実態です。
また、公務員なら副業すると法律違反になります。従って、アンケート結果のように副業に手を出している薬剤師が多いというのは近い将来の薬局経営に危惧を抱いている人が多いことの表れではないかということでしょう。
文部科学省では定員割れを続けている薬学系私立大学の入学定員を絞り始めていますが、薬局経営の将来危惧まで考慮して更に絞ろうと検討しているとの報道も出ています。