薬のことは薬の専門家へという考え方
薬というのは、定められた量を定められた期間きちんと飲むことで、効果を発揮するように作られています。医師の指導があったにもかかわらず、よくなってきたからと自己判断でやめてしまう人とくらべると、きちんと飲む人の方が良くなるのが早いという結果が出ています。
■薬によっては自己判断は危険な場合もある今はさまざまな病気に対応して症状を改善したり、悪化しないように正常値に近づけた状態をキープする薬などがたくさんあります。これらの薬は診察をした医師が判断し、患者に適切に飲むように指示しますが、これをかつては服薬コンプライアンスと言っていました。ただ、昨今は医療機関においては処方箋を渡すのみで、患者はその処方箋を持って調剤薬局で薬を受け取ることになります。そのため、薬の飲み方については実質的には薬剤師が説明し、指導するという流れになってきています。これがいわゆる医薬分業で、医師は薬に対する説明時間が省けたことにより、診察に多くの時間を傾けることができるようになりました。
■薬の治療効果を最大限に引き出すためには患者さんの方でも、忙しいお医者さんには聞きづらいからと、聞きやすい方へと聞いてくる傾向が顕著になりました。その結果、最近は医師が行う服薬コンプライアンスから、薬剤師が行う服薬アドヒアランスへと移行してきています。その理由は医師への信頼度によります。服薬コンプライアンスは、医師と患者が共に話をして治療方針を進めていくことを意味しますが、そこには医師への信頼が必要です。患者が医師を信頼できず、いうことをしっかり聞いていなかったり、あるいは医師と十分に話をする時間が取れないほど忙しい医療機関である場合、信頼が成り立たないことがコンプライアンスのネックになる場合があります。
■医師の役割の代わりを担える存在薬に関する話をきちんと聞いていなかったり、自分で判断して飲むのをやめたり、飲み忘れがひどく多いといった人はたくさんいます。その結果、治療をしても改善状況が思わしくなかったりと言ったことが起こってきますので、今後は実際に患者さんに薬を手渡す機会が多くなった薬剤師が話を聞き、アドヒアランスという方法で専門担当になるべきという考え方が出てきています。薬の専門家として、どうしたら患者に忘れずに飲むことが重要なのかを説くことができますし、また、それが新たに求められる服薬アドヒアランスの担当責任者ともいえます。たくさんの薬を飲むのは高齢者に多いだけに、物忘れといった症状にも対処しながら、継続して薬を飲ませる役割が求められています。