薬だけではなく医療にも関われる存在に
医薬分業がすっかり定着した今、医療機関で診察を受けることと薬に関して詳しい話を聞くことは切り離して考えるべき時代になりました。そのため、医療機関における薬の取り扱いにも変化が生じてきているといえます。
■医薬分業の定着がもたらした変化とはかつては医療機関を受診した場合、診察を受けた後に薬をもらって帰るというのが普通でしたが、規模の大きな病院にしても個人経営の医院にしても、診察をしてもらうのに待ち時間がある上に、診察を終えたあと、薬をもらうのにもさらに待ち時間があるのが苦痛だという意見も多くありました。その結果、医療機関においての薬の受け取りの待ち時間を減らすことと、薬の受け渡しをなくすことで、より診察に力を入れられることなどを重視し、処方箋を発行する医薬分業が推し進められるようになりました。これが定着し、医療機関は診察にだけ集中できるようになり、薬のプロである薬剤師も新たな職場を開拓しました。
■病院では役割に変化が生まれました病院ではほとんど薬を渡さないことから、薬剤師の役割に変化が生まれたと言えます。医療チームと連携を取り、医師が処方する薬の内容に対して、薬のプロフェッショナルとしての立場から物が言える医療チームの一員という立場を得ることができるようになったわけです。これにより、今までは指示された処方箋やカルテに従って薬を準備するのみだったのが、医療における薬の役割を考え、自らの意見を述べることができるというのは、大きな変化だと言っていいでしょう。言われたまま薬の準備をするだけの仕事と、積極的に患者の容態を知り、薬において治療に貢献できることはないかを考えての仕事は、大きな違いがあります。
■医療チームの一員としての自覚もこれまで医療チームと言えば、医師と看護師がタッグを組んで行うのが普通と考えられてきましたが、薬の投与は治療において欠かせないものだけに、薬剤師がチームに加わることで治療の内容がぐんと高度化したのではないかと考えられます。また、薬のプロであるという自覚と誇りを持っていながらも、医療チームの一員としては認めてもらえないという気持ちがどこかにあったと思われますが、チームのメンバーに加えられたことによって、やる気を引き出せるようになったのは間違いないでしょう。時には医師に物申すことができる立場となれば、自然と仕事に対するモチベーションもアップして来るものと考えられます。