2020年06月09日

社会の高齢化で顕在化する難題を模索するスキル

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今後も人口減少が続いていく見込みですが男女共に平均寿命が世界でトップクラスになり、社会には高齢者が増加しています。このため団塊世代が全員、高齢者となり、近年、医療機関や介護施設の世話になる人が増えていますが、在宅のまま看護や介護を受ける人も増えています。

高齢者や要介護者の増加で始まっている人口構造変化

2025年問題と囁かれているように高齢者や要介護者の増加が続いているので社会のこうした構造変化を見越して大学や専門学校で医学系学部や学科の新増設が図られています。しかしながら、医療、介護関係の現場では医師など、医療、介護関係者が依然として多忙を極めているニュースを良く見聞きします。

また、薬学系学部、学科の定員も増加していますが、つい最近まで病院周辺に薬局やドラッグストアの増加が続いてきたので薬剤師の国家試験合格者は引っ張りだこの状態が続いてきました。将来、薬学の専門家となる合格者は毎年、1万人近くに達していますが近年、薬学系大学や専門学校の新増設が広範囲に行われた割に合格者が増えていないようです。

近年、国家試験の合格率が70%程度まで低下している実態にその傾向が表れています。

処方箋に記載された調剤業務だけでない専門職

やはり、薬学系大学や専門学校の入学定員が年々増えても高校卒業時点の学業を十分に終えた生徒ばかりが入学しているわけでないことが合格率低下理由の一つに挙げられています。薬学部が6年制教育になり勉強する範囲が増えたにも拘わらず、入学定員が増えて学力水準の低い生徒迄入学できる状態になったことが合格率低下理由だということでしょう。

合格率低下のもう一つの理由として高齢者や介護を受ける人の増加で薬剤師に求められる業務の拡大に合わせた国家試験の出題領域の拡大が挙げられます。薬局やドラッグストアで働く薬剤師には従来のように医師の発行する処方箋に記載された調剤作業や薬剤に関する知識だけでは十分でなくなっています。

考える力が試されていることに気づくべき受験生

高齢化社会の到来と共に在宅中の高齢者や増加してきた要介護者などの服薬管理や体調管理などの業務に力を入れる必要性が強くなってきたわけです。それには患者ひとり一人の症状や体調変化に思いを寄せる積極性が求められているということです。

こうした社会の要請が試験問題にも反映され、勉強する領域が拡大してきたわけです。従って、試験の難易度が上がって合格率が低下したとは言えないようです。利便性の高い社会で暮らしてきた受験生にとって記憶をたどればすぐに解の見つかるような出題形式ではなくなってきたといえます。

受験生は最近の社会に横たわっている様々な課題を見つめて解を模索し、考える力が試されていることに気づく必要があるでしょう。