薬学系の学校を卒業しても激変見込みの求人環境
770万人程度の団塊世代が着々と後期高齢者に向かって歩んでいて、5年後には全員が75歳を超えるわけです。後期高齢者がこれだけ急激に増加する高齢化社会では病気を患う人の他に認知症、あるいはその予備軍の人がこれから急増してくると予想されています。
国家資格を取得した新卒求職者だけで不足の求人募集人口減少の進む社会で団塊世代が一塊になって後期高齢者に近づいてくるので高齢者以上に医療機関や介護施設の世話になる人の増加が懸念されています。また、既に高齢化が進みだした頃から医師や看護師の多忙ぶりが問題視されていたので、医療関係の人材を増やす対策が取られてきました。
こうした対策と同時期に医薬分業が進んでくると各地の医療機関周辺に薬局やドラッグストアが増えだしました。その結果、薬剤師の求人募集が急増して、毎年、国家資格を取得した新卒の求職者だけで足りない状態が続きだしたわけです。
この売り手市場の状況を見て雇用条件の良い薬局などへ現役薬剤師の転職する行動が頻繁に起こってきました。現政権になって以降、人手不足を背景にして雇用市場では求人しても人が集まらないほどだったので転職することが珍しくなくなっていたからです。
しかしながら、薬局やドラッグストアが医療機関などの周辺に立ち並ぶようになり、コンビニ以上の店舗数になるとほぼ飽和状態に達したとの見方が出るようになりました。最近は経営状態の芳しくない店舗などのM&Aが行われて系列化や寡占化も始まっている位です。
また、産業界全体の人手不足対策として様々な職場でAIやロボットの導入など、業務の合理化も着々と進んでいます。薬局などにおける調剤作業にもこの合理化が始まってきたので薬局やドラッグストアの人材採用活動も急速に萎みだしています。
求人環境が急速に変化してきたということです。
今後、国家試験に合格して輩出される1万人ほどの新人薬剤師はもちろん、医療機関などへの就職を目指す人が多いでしょう。しかしながら、企業や役所などの未経験、未開拓分野にも就職口を広げていく必要が出てきたといえます。
キャリアやスキルを培った現役であれば医薬品知識を活用して医薬品企業の研究開発やMRあるいは、学校や保健所などが従来からの業務に関連ある転職先候補といえそうです。また、厳しくても看護師とのダブルライセンスを目指す道も候補になりそうです。
今後は更に、公務員となって薬事行政や食品の安全性管理などの分野がキャリアやスキルを発揮できる領域として未経験でも開拓していける分野でしょう。そのためにも公務員試験の受験準備も必要になります。