2019年07月06日

これから必要とされるフィジカルアセスメント

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薬剤師の仕事は処方箋に従って薬を調合することだけだと思っている人が多いかもしれませんが、最近では法律の範囲内で医療行為を行うことが求められつつあります。ここでは具体的にどのようなことが必要とされるのかについて見ていくことにします。

フィジカルアセスメントとは何であるのか

臨床薬理学研究室では学生が医療薬学用ロボットに対して診察するという実習が行われています。フィジカルアセスメントとは問診や視診、聴診や触診などのことを意味します

このような診察はこれまで医師が行うものだと考えられていましたが、これからは薬学部でもフィジカルアセスメントの実習が行われるようになりました。聴診器を患者の胸に当て、その音からどのような症状であるのかを判断する力が必要になります。

医療薬学用ロボットには人体と同じような反応をする機能が備わっており、胸の音が聞ける他にも血圧を測ったり、瞳孔の反射を確認したり心音や腸の音を聞いたりすることも可能です。

フィジカルアセスメントの必要性

これまで医師が行ってきたフィジカルアセスメントを、なぜ薬剤師も行う必要があるのでしょうか。これは高齢社会によって医療現場が変化してきているためだと考えられています。高齢社会で患者の数が増えるに従い、全ての診察を医師だけに頼ることは難しくなってきました。

比較的簡単に行うことができるフィジカルアセスメントを薬剤師に任せることによって病院の混雑を緩和したり、患者の負担を減らすことが可能になります。在宅医療で薬を届ける時や、薬局に設置されている健康相談窓口でフィジカルアセスメントを行うことができれば、患者がわざわざ病院まで足を運ぶ必要がなくなります。

従ってこれからは薬に関する知識だけではなく、診察に関する知識も身に付ける必要があるということです。

海外においても起こっている変化

海外でもすでにこの職種の仕事内容が変化している国があります。カナダでは調剤ではなく、患者への薬の説明が主な仕事内容に変化しました。調剤はアシスタントによって行われており、患者に対して薬の効能や副作用などについてじっくりと説明することが重要だと考えられています。

言われるがままに薬を服用するのではなく、患者自身が納得してから薬を服用することで薬を飲みすぎたり、副作用を避けることができるようになります。日本でも調剤や分包はAIに任せて、患者とのコミュニケーションがより一層大切にされるようになるのではないでしょうか。